ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

まだまだ真田丸、と、『いだてん』の話。

大河ドラマ真田丸』の 大坂牢人五人衆(真田幸村後藤又兵衛明石全登毛利勝永長宗我部盛親)と若武者(木村重成) を描きました。(twitterヘッダー用に)

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ところで ちょっと前にも触れた 現行の大河ドラマ『いだてん』が べらぼうにおもしろいです。どうも視聴率はふるわないそうなのですが そんなのはどうでも良いほどに面白い。

今まで大河ドラマを欠かさず観るタイプではなく 真田丸は後追いでまとめ観したのですが「いだてん」はずっとリアルタイムで鑑賞しています。引き込まれる「ながら観」を許さないドラマです。45分があっという間です。

また、観終えた後で 色々な方の感想を読むのが楽しいです。ドラマ公式twitterアカウントで少しずつ解説して下さるのですが、いたでんワールドにおいてもはや定石となっているのが「さすがにこれは、創作されたエピソードでしょ?」と視聴者が思うことがすべて事実か、事実に基づいて脚色されたものだということです。これは本当に驚きますし「事実はドラマより奇なり」なのです。

 https://twitter.com/nhk_td_idaten/status/1137687052215115781

 

記録が鮮明に残っている近現代を舞台にしてるおかげで、調べれば「それが事実である」とわかる、というのも新鮮です。古代~幕末までの『現代とまったく違う社会構造だったころの、ロマンや精神性・美学を楽しむ』とは また別のベクトルへ、視聴する側が切り替えることができれば「ハマる」。そういう大河なのではないかと思います。(ただ情報量は多い。集中してみることが要求されるので疲れることは疲れます...楽しいですが!)

近現代史ドラマであることで もうひとつ楽しいのは「今、ここにいる私に、つながる出来事が描かれている」ということです。

6月現在、『いだてん』内の時間軸では 大正12年、東京が壊滅的被害を被った関東大震災が発生しています。

そして1年の放映枠の折り返しということで、次回ひとまず『第一部の締めくくり』となります。

後半では『日本人初のオリンピック出場』を果たしたマラソン選手・金栗四三 から、『オリンピック日本開催』を実現する男・田畑政治 へと、主人公がバトンタッチされます。

この大正~昭和中期というのが 私にとっては「歴史」というよりは、もう「祖父母と父母が生きた、ちょっと昔」になります。祖父が大正7年生まれ、父が昭和26年生まれ。

関東大震災の被災体験も、第2次世界大戦が終っても2年続いたシベリアでの捕虜抑留生活も、私はギリギリ、祖父から直接きくことが出来ました。

その聴いたことと ドラマの中の出来事が どんどんリンクし始めることが 何とも表現しがたい手ごたえを持って迫ってくるのです。「あれは私の祖父だけが経験した事ではなく 日本に暮らす人々の共通体験として本当に有ったのだ」ということが。

そして「いだてん」の中で繰り広げられる 歴史的ではないもっとささいな人々やり取りすらも まるで昨日誰かが交わした言葉のように感じられるように描かれています。その意味でも「私とつながっている」物語です。

震災発生の日の朝 妻に「ご飯が固い」と苦言を呈してしまった。それが妻と交わす最後の言葉になると知っていたら 飯の炊け具合なんてどうでもいいと思えたのに、と 後悔を呟く夫。

窮屈な服を脱ぎ、素足になって走ったことに「好奇の目で見られる」と眉をひそめる者へ「そんな目で見るほうがおかしい」と声を上げ戦う女子学生たち。

「あれ、これはつい最近のこと? 果たしていつの時代の話をしてるんだ?」とか「ああ、このころと変わってないんだ」と悲しくなったりうれしくなったりする瞬間が いくつもあります。

視聴者を、物語を外から眺める傍観者にしない、「これはあなたに、今につながる話」というのを ストーリー上無理なく、説教くさいセリフでなく あくまで自然に滑り込ませる、その洒脱さに驚きます。

ドラマに限らずマンガ・アニメ・ゲームシナリオでも 私が好きな物語は「どんなクズっぽいヤツ・あくどい登場をしたヤツにも『作者・脚本家サイドの惜しみない愛情』がちゃんとある」と感じられる物語、

ひとつの事件に対して 主人公の目線だけでは把握できない面が描かれていて、多面的な解釈ができる、「これ、良いことだったのか? 悪いことだったのか?」がわからない、「観る者にゆだねられる」物語です。

「いだてん」はそこも、みごとにクリアされてるドラマだと思っています。

これから1年の後半、第2部に入り 日本のターニングポイントがまたやって来ます。それを恐れながらも「いだてん」ではどのように描写され、主人公たちがどのように乗り越えていくのか...、というのが 本当に楽しみです。

 

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