ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

NHKオンデマンドでの、『鎌倉殿の13人』ほか一部番組の配信停止→再開の件で思うこと。

大河ドラマはじめNHKの過去放送番組を、NHKオンデマンドで繰り返し視聴することが多いです。過去の大河ドラマ、『鎌倉殿の13人』もそうして、「いつでも・どこでも観られて助かるな~」と思いながら、視聴していました。

そうした中で6月末、両親の自殺幇助罪で逮捕された市川猿之助氏の出演作が配信停止になることがオンデマンドサイトで告知され、鎌倉殿の13人も、この停止作品に含まれることになりました。(7月より)

NHKオンデマンドを契約していた人からは、この措置について疑問を持つ意見が多くあがりました。 この反応を受け 出演作品の順次の配信再開を決めたと NHK定例会見での発表がありました。(7月26日付の報道)

すでに

・地上波放送での、当該作品の再放送→行わない

・DVD・ブルーレイなどのメディア販売→継続される

などは決定しており、こちらについては変更がないようです。

私も「配信を再開してほしい」という要望メールを送っていました。

NHKには、これまで約1000件ほど意見が届いたとのこと。その中の一かけらにでもなれたなら、良かった、ムダじゃなかった、と思いました。(強く抗議する意思を示すならオンデマじたい解約すればよかったんですけど。ドラマ以外にも観たいものが色々あるので...申し訳ない)

 

ライブドアニュース on Twitter: "【NHK定例会見】市川猿之助容疑者が出演していた作品「できるだけ速やかに配信を再開する」 https://t.co/ARsQDJD2cb 番組の販売停止に関して「作品には罪はない」「有料の動画サービスなので、その番組を見るかどうかは利用者に委ねるべき」という声がほとんどだったと説明した。 https://t.co/cTYUiiCFmC" / Twitter

"さらに「今後、NHKオンデマンドにおきましては、原則、一部の出演者の逮捕での配信停止は原則行わない」とも併せて発表。ただ、「事案によっては総合的な判断で例外的に停止する可能性はある」とも付け加えた。"

今までも、出演者の不祥事や逮捕の際に、NHKオンデマンドの配信が停止になったり 過去に犯罪歴のある人が出演していた作品は配信予定が立たないといったことがあった(今もある)んですけど

これまで基準が曖昧・恣意的に決められていた(少なくとも契約者が知れる情報としては)ことが 「一部の出演者の逮捕での配信停止は原則行わない」 と明文化されたことは評価できるのでは。他の民放放送局や配信サービスでの判断にも影響を与えていくのではないかと。

現在配信されていない作品についても 希望の持てる決定だったなと感じました。

この少し前、公開直前の邦画の主要キャストが薬物所持で逮捕されましたが、アナウンスを出した上で公開は予定通り行われました。

映画・オンデマンド配信・DVD等の販売との共通項は「観たい人がお金をはらって鑑賞する」媒体だ、ということです。

当該演者が出ていること、その犯した罪を認識した上で 観る/観ない を選択できる媒体で 自主規制をすることはない。理にかなっていると、私は思います。

これに対して視聴を選べない いわば「テレビがあれば垂れ流し」になってしまう 現在の地上波番組放送は、慎重になってよいと思う。

演じた役よりも、タレント本人のイメージに依拠してる企業のCM・広告などは、逮捕された時点でもうイメージ良くないし(←当たり前)「当社は法を遵守する企業である」と表明する意味でも停止/降板するのが良いと思います。

それは踏まえたうえで、

ひとりの出演者の犯罪行為のために、ドラマ作品ー 映像作品はたくさんのキャスト・スタッフ、裏方さんの協働で作り上げたもので、誰か1人のみに属するものではない- が、「お蔵入り」として扱われてしまうのはあまりに悲しい。

心情的な面だけでなく 観る手段が無くなれば、その作品からあがってくる収入も途絶え制作者・出演者に還るものがなくなってしまう。クリエイターの皆さん食べていけない。

「参加した誰かの不祥事があれば公開できない」ということであれば 関わる人が多い大河ドラマのような大作になればなるほど、リスクもあるので誰もやりたがらなくなる、作られなくなってしまう ということにもつながってしまいます。

上記はNHKに送った意見メールに記したこと、ほぼそのままです。

同じ作品が好きな方のツイート(じゃないけど、今)を拝見してると、配信再開を求めたのは、ほとんどの方が 「ひいき作品が観られればいいんだ!」 という利己的な気持ちではないな、と感じました。

「事なかれ主義」で 「文句が来そうなものは全部止めましょう」で解決してしまうのは、この後に続く作品・業界の未来のためにならないのではないか? そろそろ、誰に向かってかわからない「配慮」という慣例を変えるときではないかと、多くの人が感じています。

視聴者(契約者)・作る人・提供していく側。それぞれの納得や利益、妥協点を、めんどうがらずに意見を出して、探っていくべきなのでは。

「公開するほうの一存で決めないで!」 という気持ちが結集して、今回の配信再開実現、ひとつのガイドライン作りができたんだと思いました。

 

それはそれとして。

個人的に 鎌倉殿の中の、この当該出演者の出ているシーンは、しばらくは観たくないですね。飛ばして観ます。(そんなに多くないけど大事な最終回に出てるんだよなあ、困ったことに...)

そのくらいには この人の起こした事件に憤りと、あきれを感じています。「作品に罪は無い、演じている役と本人は別のもの」と言いつつも、「無理!」と感じています。

好きなようにしゃべらせてもらえるんだったら、いろいろあげつらって、かなり口汚く容疑者のことを罵れるくらいには、彼の起こした身勝手な行為が許せない気持ちでいっぱい。

でも、それでも 「作品に罪は無い」と、言い聞かせています。

容疑者の犯罪は司法で裁かれることであって、権限のない人が、この先の仕事も奪うようなことを願ってはいけない。それは私刑だもの。

それに、これらの芸能人の犯罪に至ってしまった経緯って 「忙しすぎること、プレッシャーが過重だったこと、孤独であること、頼れる人・止めてくれる人がいないこと」…などが絡んでて 「治療」や「ケア」の対象だったのかもしれない。と感じています。環境の問題を思います(って、主題が逸れてしまうのでまた改めて)。

 

オンデマ配信が再開されたのは、本当に嬉しいこと。

矛盾してるかもしれないけど どっちもいつわれない私の気持ちです。