ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

ナルニア国ものがたり読了

さいごの戦い ナルニア国ものがたり (7)

ナルニア国に起こる様々な出来事の中で語られる、「正しさ」や「善」の価値観は、常識や道徳の範囲でついていけたけれど

(どんな人がナルニアに住めて、どんな行いがアスランの計画に適うのか? というのを自分なりに納得していた)

うまやの扉をくぐった後で、どかーんと価値のどんでん返しを受けたように感じました。

クリスチャンであるダンナさんが

「聖書の正しさは、人の思う正しさとは別の基準を持ってるんだよ」と、前に話してくれたことがあります。

これがこのことか、と思いました。

不遜なのを承知で「イエス様にはかなわねぇや~・・・」と言ってしまいます。

 

 

「死」に対して忌むべきマイナスのイメージが強い日本人にとっては、

これでよかったの・・・? って感じる結末かもしれません。

(これ以上言うとネタバレになってしまう~;)

ワタシもそのひとりです・・・。

でもきっと、心からナルニアが「ある」と信じた人にとっては

この結末は素晴らしいハッピーエンド、そして新しい始まりです。

創作のバックグラウンドに、ハッキリ「神」とは言わないでも、

人間の浅薄な意志を超えた「大いなるもの」の存在を感じさせ、

また作者自身がその大いなるものを心から信じ、尊んで作っている物語って、なんか、深みが違うのです。

ファンタジーであっても、その世界が本当に「ある」と信じて書かれているから、

説得力が違うというか。そういう話にはぐいぐい引き込まれます。

日本では、宮沢賢治はそういった感じがします。

上手く表現できませんが・・・;

ルイスもトールキンも、クリスチャンの作家たちは、所詮人の作り出すものは、どんなにオリジリティを追求し主張してみたところで、この世界の作り手より優れた創造者はいないことを知っている。

だから返って小手先でない、柱がしっかりした、深くて、時代の流れに左右されない強い物語を書ける。

その一点だけでも、信仰を持つことは素晴らしいと思う。

ナルニアの宗教色の濃さ、それが物語じたいの価値を下げるものじゃないことを、はっきり確信します。

深く胸に残る物語だと思います。

まだ未読の方は、ぜひ。