ナルニア国に起こる様々な出来事の中で語られる、「正しさ」や「善」の価値観は、常識や道徳の範囲でついていけたけれど
(どんな人がナルニアに住めて、どんな行いがアスランの計画に適うのか? というのを自分なりに納得していた)
うまやの扉をくぐった後で、どかーんと価値のどんでん返しを受けたように感じました。
クリスチャンであるダンナさんが
「聖書の正しさは、人の思う正しさとは別の基準を持ってるんだよ」と、前に話してくれたことがあります。
これがこのことか、と思いました。
不遜なのを承知で「イエス様にはかなわねぇや~・・・」と言ってしまいます。
「死」に対して忌むべきマイナスのイメージが強い日本人にとっては、
これでよかったの・・・? って感じる結末かもしれません。
(これ以上言うとネタバレになってしまう~;)
ワタシもそのひとりです・・・。
でもきっと、心からナルニアが「ある」と信じた人にとっては
この結末は素晴らしいハッピーエンド、そして新しい始まりです。
創作のバックグラウンドに、ハッキリ「神」とは言わないでも、
人間の浅薄な意志を超えた「大いなるもの」の存在を感じさせ、
また作者自身がその大いなるものを心から信じ、尊んで作っている物語って、なんか、深みが違うのです。
ファンタジーであっても、その世界が本当に「ある」と信じて書かれているから、
説得力が違うというか。そういう話にはぐいぐい引き込まれます。
日本では、宮沢賢治はそういった感じがします。
上手く表現できませんが・・・;
ルイスもトールキンも、クリスチャンの作家たちは、所詮人の作り出すものは、どんなにオリジリティを追求し主張してみたところで、この世界の作り手より優れた創造者はいないことを知っている。
だから返って小手先でない、柱がしっかりした、深くて、時代の流れに左右されない強い物語を書ける。
その一点だけでも、信仰を持つことは素晴らしいと思う。
ナルニアの宗教色の濃さ、それが物語じたいの価値を下げるものじゃないことを、はっきり確信します。
深く胸に残る物語だと思います。
まだ未読の方は、ぜひ。