「ちくしょー単純なゲームなのになんかやめられないんだよー!」と言いながらずーっと通勤電車でやってるダメな大人のワタシ。
その「なぜ面白いんだろう?」を見つけたくて、読み始めました。
何がおもしろかったかって、多忙な中をチベットまでゲームボーイ持ってって述べ120匹のポケモンをゲットするまでやった中沢先生が素晴らしいと思った(笑)。
いや、論文を書くからには、そのくらいやりこんでもらわなければお話にならないんですけども。
実際にゲームに熱中してる子どもと、『ポケモン』を商品的価値からとらえてる人やゲームをやってなくて『ポケモンの主人公はピカチュウ』と思ってる人とは、すごいイメージの差があると思います。
ゲーム業界の外にいて、なおかつちゃんとプレイした人に、分析して欲しかったので。
この本は嬉しかったです。
間違いなく、良質なゲームなんです。うん。
子どもゴコロが求めていたものを、かなり健康な形で提供してると思います。
ゲームの人気にくっついて、商売にしたのは大人たちです。
この本を読むまで、このゲームはいろいろマーケティングを重ねて、
いわば親と教育委員会に媚びて、かわいらしくて残酷さのないゲームデザインをしたのかと思ってました。
「殺しちゃまずいんなら、仲間にすればいいでしょ?」みたいな、ね。
そうではなくて、ただ田尻智という人の「こんなことできたらいいな」というドラえもん的願望の実現を
目指した、というのがいちばんシンプルなコンセプトなだったのです。
自分が小さいときに体験した昆虫採集の興奮を、
ゲームの中で、今の子どもたち向けに、忠実に再現できないか、と。
楽しいゲームを作れる人って、やっぱり子ども時代に
五感を使って元気に遊んだ人なんだな、と思いました。
だから、あとがきの田尻氏の言葉(文庫化にあたって新しく加えられたもの)はちょっと気になります。
このまま、ゲーム以外のメディアに求められる形でポケモンの続編を作り続けることは、本意じゃないようなニュアンスがあったので。
ヒットし続けるために、やりたいことが制限されたり、違う方向に走らされるのは嫌だろうな。
この世でいちばんポケモンたちに愛情を注いでる人だけに。