ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

「日本の歴史資料から読み解く 職業と性差(ジェンダー)」講座

千葉市男女共同参画センター主催の講座に参加しました。

ども時くんといっしょ

以前行った国立歴史民俗博物館の『性差の日本史』展の監修をされた横山百合子先生が講師ということで興味が湧きました。

千葉市民じゃないけど 会場のハーモニープラザは息子の通院の経路にあるので知ってて、でも中に入ったのは初めて。講座の前に見て回ったのですが、ジェンダー関連の書籍を集めた図書室もあって貸出可。こんな立派なところだったのかーって(たぶんこういう施設って市民の方にもあんま知られてないやつよね…)。

レジュメと、参考になる書籍一覧と男女参画センターの事業紹介と、全部入るトートバックももらいました。講座ももちろん無料。千葉市民じゃないのに(2回目)ごめんネめいっぱい利用させてもらっちゃって。

nekoana.hatenablog.com

2020年秋のジェンダー展は、国立歴史民俗博物館の歴代展示中でも反響が大きかった、いまだに意見や感想が届く手ごたえのあった企画展、という話から、いま博物館の中で働く人のジェンダーバランスや、博物館の展示内容そのものについてジェンダーの視点から検討する(ある時代の人々の生活を紹介する展示、と銘打っているものが意図せず男性モデルのみの構成になっていた)等、歴博だけではなく世界じゅうの公立博物館で視察してきた取り組み、今まさにやっていることの紹介があって、2年前の企画展からさらに変わってきたことなんだなあとわかりました。

 

タイトルの通りジェンダー展では『政治』『職業』『性の売買』の3パートに分かれていた中から、『職業』に絞った内容が、今回の講演でした。

家のしくみ、家族のかたち、男女の役割...というもろもろがホントにずっと昔から変わらない、という意味での「日本古来の伝統」なのか? ていうとそれは疑う余地があるよね…ということです。

特に「ある職業に付与される『属・性別』性」と言いますか、「これは男性の仕事、これは女性の仕事」っていう規範は時代によって変化してきた。歴史を学ぶとそう思います。

江戸時代末、マゲを整える髪結いという仕事は男性の仕事としては幕府に認められていたんですけど、女性が女性の髪を結う女髪結いはみんなモグリ。でも実際にはたくさんの女性が店を構えず「流し」でやってて需要がある職業でした。古典落語に出てくるので、てっきり堂々と営業していたのかと思ってた。腕のいい人すごく稼いでたんだよね。あの頃の女の人の髪形、たいへんそうだし。

当時で言う非合法な職だった理由は何かというと「女なら自分の髪くらい自分で結えて当たり前だ」という通念の為...という以外これといったわけがないそうです…。おもしろかったなあ、おもしろがってちゃいけないんだけど。横山先生は「総菜売り場で買い物をしてる母親に『それくらい自分で作ったらどうだ』って絡む『ポテサラおじさん』が当時からいたんですね~」って。

現在となっては誰もが「なんで? 変なの」と言うような理不尽な慣習があり、慣習どころか法としてあり、それを守らなくては罰せられる・身に危険が及ぶような時代が確かにあったわけで。

でも今そうじゃないというのは こんな現状を変えたい、変えようとしてきた人がいたからで。

過去を見た後で現在から未来へ「視線を延伸」してみれば 今ある理不尽もかならず変えていくことが出来る、ということが…むしろ変えてゆくことが 当たり前と感じられるんです。

知ったからと言って明日すぐ世界が変わるわけじゃない、全然そんなことはないんですけど。新しい視点を得ることは自分が生きてく上での希望です。無駄じゃない…。今を追認、維持する側よりは変えていくことを考える、「社会は変えられる・変わりたい」という事を、語るのをあきらめない人になりたいなあって。そうハッキリ思いました。

 

えらそうですいません。そんな私は普段の生活は ただただ仕事に明け暮れて不在の夫と、気むずかしい子どもたちのあいだで右往左往する、何ら稼ぎのよくないおばさんです…。

単純に こういう講座が楽しい。リアル講義のいいところって 新しい知識・視点を知れるという事以外に 同じ室内に同じテーマに興味を持った皆さんが座ってる、それが可視化されるだけでも「私ひとりじゃないんだ!」って励まされる気持ちになるんです。もちろん質疑応答、いろいろな意見を聞けることも。こういうのが「楽しい」って感じられるの、若い学生だった頃にはなかったことだな。サボったりしたな。もったいないことをしちゃったけど今の私は気づけてよかったな。

自治体が開催するものはほとんど無料ですからどんどん公共財を利用したい、これからもテーマを見て参加したいです。

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