ドアの猫穴

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2021年度大河ドラマ 『青天を衝け』 感想。

青天を衝け、完結しましたね~。なんと清々しいラストだったことでしょう...。

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最終回の日が徳川家康公のお誕生日(旧暦)だったのも何かのめぐり合わせでしょうか。

「幕末明治が舞台なのに、なぜ毎週家康がコンバンハするんだ…」とツッコミながら、でも江戸時代の終焉から明治への激動のときのナビゲーターとして、ゆるぎない安定感で、江戸幕府のはじまりの人である家康が案内してくれたこと。楽しくて頼もしかったです。

 

青く澄んだ空の下、爽やかな風と広がる畑の中で、はじまり、そしておわる、渋沢栄一の一生。

キレイにたたんでまとまって、ああ素晴らしい結末だったなーって、自分としては続編とかスピンオフとかは希望しないタイプの物語でした。…そういうことなんだよなぁあ〜(どういうことよ)

 

最終回で印象的だったのが、いつもの語りの方から、跡継ぎとなった孫の敬三へ切り変わった語り。

ここで実質的な主人公は、まだ存命だが年老いた栄一から、敬三へとバトンタッチされていて。最終回は最初から、敬三の視点で祖父の業績と人柄を総括してたんだな…と。そして「これからのこの国」というバトンを渡されたのは、敬三だけじゃなくすべての視聴者だったんだ、とも思いました

 

『いだてん』 もそうだったのですが、近現代はやはり自分につながる人たちの世代が出てくるというのがフィクションだけど 「史実へと開かれた」 「いまだ終わらない」物語だから。続きは、我々が描くもの。続編はなくていいな、っていうのはそういう意味もある…。生々しさがあるな…青天は特に、それを念押ししてくるつくりだったと思います。

栄一が抗い続けた「困窮する者は努力が足りないのだから、公が助けてやる必要はない」という、福祉に対する無理解や、最終回で言うと郷里の血洗島を訪れた敬三と栄一の魂(?) との 「今の日ノ本は、どんなもんだい?」「恥ずかしくて、とてもとても」 という応答など、まさに、まさに! 今の時代を指し示してる...。 そこで明るく「なに言ってんだぃ、まだまだ、はげむべぇ!」 と笑い飛ばす栄一で、よかったです...。

 

渋沢栄一を指して「偉人」というのは、どうもそぐわないのだ。何度も挫折した。仕える所がコロコロ変わり、変節漢と言われることもあった。失敗も過ちもしてきた。ただ、エネルギーに溢れ、立ち止まることのない情熱を持った、ひとりの人間であった。それを皆さんに、後の世の人々に、記憶してもらいたい。

そう追悼会で振り返る敬三の言葉は、この大河ドラマを作ってきた人たちからの、押し付けがましくない説得力のあるメッセージとして響きました。今まで辿ってきた栄一の軌跡、ひとつひとつのシーンを思い出し手ごたえをもってうなづくことが出来ました。新1万円札を見る目が変わりますね...。

 

あと、青天を衝けで新鮮だったのは、旧体制がわ、打倒されるべきものになりがちな、幕府側の人間模様に深く切り込んだところでした。井伊直弼も単純な悪役ではなかったし、一橋家の家臣の皆さんも魅力的だったし、語りつくせません...

最後の将軍・徳川慶喜がすごくすご~く、抑えた言動しかしない、けれど複雑なひととして描かれてたんですよね…! 幕末ものにも志士にも新選組にも思い入れゼロなのでフラットな視線で見てたと思うのですが、「徳川慶喜は逃げた暗君」というイメージはやっぱり漠然と持ってたので、見る目が変わった。

草彅剛さんが演じる慶喜は、間違いなくもうひとりの主人公でした。思ったことをすぐに口に出し、行動し道を切り拓く 「陽」 の栄一に対置された、胸中を語らず、去りゆく時代の象徴となり、すべてを抱えこみ運命にしたがう 「陰」 の主人公としての慶喜かなって。

晩年においても『世界の人がお互いを敬い、手を取り合い、平和を実現しよう』と、飽くなき『理想』を語った栄一と比べて、対立するわけではないけど、『人は戦争をしたいと思えば、必ずするものなのだ』という、経験からくる『現実』を語るのが慶喜の立場でした。

 

日本経済と実業の父・渋沢栄一は、慶喜との出会いなしには存在しなかった。

また慶喜が、世から身を退き語らなかったことを、書き記して後世に伝えたのは栄一で。

ふたりはお互いのおかげで、今日まで知られる者として存在しえたんだ、と思います。

 

近現代大河、実話エピソードを丹念に調べて積み重ねるだけで 「事実は創作より面白い!」 に圧倒されます。将軍を退いた後の慶喜の人生のように、私たちに近い時代には、まだまだ発掘されてない人物の物語の豊穣な鉱脈が、たくさんあるはずなのだ…。彼ら・彼女らに、会って見たいな。

 

そしてそして、年明けからは 武家政権のはじまりの物語、『鎌倉殿の13人』ですよ!

www.nhk.or.jp

さっそく 『ザ☆三谷幸喜』 な予告映像に笑っちゃいました...どんだけノッていけるかはわかりませんが(『真田丸』が大好きなので期待してます)初回見逃さないようにしないとね~。

私は地元の、頼朝をして父と呼ばしめた源氏のゴッドファーザー・千葉常胤公が推しでございます。この機会に、もっと全国区に知られてほしい。千葉県や千葉市も、鎌倉や伊豆に負けずに展示企画して欲しい〜。

 

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