ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

「性差(ジェンダー)の日本史」展と、佐倉の町でプチ社会科見学。

千葉県佐倉市にある、国立歴史民俗博物館で開催中の 企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」 に行ってきました。

www.rekihaku.ac.jp

合わせて佐倉市のかつての城下町であった史跡をいくつか周ってきました。どこも日本史趣味の人間にはとても充実した、混雑を気にせず見学が出来る穴場のスポットなので紹介します。

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ひよどり坂

 

企画展「性差(ジェンダー)の日本史」展は ざっくりとまとめると「日本では、なぜ・いつから、男女で区分するようになったのか?」「男女の区分のなかで人びとはどう生きてきたのか?」という問いに対し、残っている遺物をもとに古代から現代まで通しで検証した最新の成果を展示したものです。


めちゃめちゃ見入ってしまった、よかった…とても良い展示でした。史料とキャプションの対照が、すごくわかりやすくて、なんて身近な日本史の展示だろう、と。
とにかくこんなに「この他ならぬ、日本で、女と呼ばれる区分の、わたしに繋がる歴史」を感じる博物館の展示は今まで経験したことがなかった。「じぶんごと」の歴史。
テキストだけではない、当時の人々がつくり、つかい、身につけたモノが示す、グロテスクなほどの時代の空気。

「性と売買と社会」パートは ひとによっては非常に心をえぐられ、傷を思い出してしまう内容かもしれません。

私も思わず震えがくるような、溜息をついてしまうような、娼妓の実態を示すものが並んでいました。しかし、目を背けてはいけないと思いました。同じ場に男性の来場者もたくさんいたことに、希望を感じました。

 「遊女」ということばから連想される 時代劇的なイメージと、実態の乖離が興味深かったです。

江戸幕藩体制が確立し、都市経済が成長する以前の「遊女」とは高度な芸能者集団を指し、貴族階級と交流があって、経営も女性自身が握っていたことが興味深く思いました。「麒麟がくる」の伊呂波太夫を思い出しました。

 明治時代に入って、遊郭が建前上は解散されたために 女性が「好きでやってるんだろう」という目で見られることになってしまうというのは このまさに2020年の経済状況で 夜の仕事に関わる人に向けられている目や、「自己責任論」となんと近いのだろう、ここにルーツがあるのかもしれない...と思いました。

 

中国から律令制や仏教が伝わり、法や組織やが整備され、身分や職業が分化し、近代社会になっていけばいくほど...女性はその運用から排除され 発言力をなくしていったっていうのは...やるせないというか、なんというか...。「どうしてこうなった」感が...。

 

でも、最後の村木厚子氏のメッセージには励まされました。

人間が作った制度による性差ならば、また制度によって変えられる。そうして変えられてきたことがたくさんあるし、これからも。

www.youtube.com

そんな感想、思いの丈を アンケートに書いてきました。

 もちろんこの1回では網羅できなかったものもたくさんあります(戦時中の、国内外軍事施設に付随する『慰安婦』のことなど)。この分野での常設や巡回展示、いろいろな博物館で あったらいいですね。そうなって行くように、たくさんリアクションを送ります。

 

佐倉は、DIC川村記念美術館には好きな作家の作品があるので、何度も行っていたのですが 他の施設は初めて訪れました。

歴博は1日で観るの無理、って公式アカウントさんがアナウンスしてたけどホント。
今回は常設展示は諦めました。広大な城址にある広大な博物館…近いうちに必ず行きます!

 

その他に行った場所

麻賀多神社

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七五三お祝いでにぎわっていましたが、ご奉仕の皆さんによる感染防止対策をはじめ、こまやかな気配りを感じながらお参りできました。子どもがたくさんいても平気なニャンがすり寄ってきます。

 

旧堀田邸(さくら庭園)

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本丸、実在したわ......(審神者目線)

最後の佐倉藩主、堀田正倫が、明治23年(1890)に旧領である佐倉に設けた邸宅・庭園です。

明治の建物なので、元大名家の格式、庭の広大さはありつつも 「ここなら住んでみたい」と思えるくらいの、現在の日本住宅に通じる間取りの身近さがありました。いろんな妄想がふくらんで、いっぱい写真を撮ってしまいましたw

佐倉武家屋敷(旧河原家住宅・旧但馬家住宅・旧武居家住宅)

その佐倉藩に仕える藩士たちが住んだ、武家屋敷通りに復元された屋敷群。共通券で見学できます。

禄高によって門の板の枚数、壁の材質、畳の質まで細かく違ってるのが大変シビアな感じ!

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途中でお寺にも寄り道しちゃって ここまでで日が暮れてしまいましたので 城址のお堀など見られていない名所もたくさん。

hotokami.jp

これは城町だから...古城も古戦場もそうですが 坂がえげつない。ザ・防衛施設! 台地を急角度で登る傾斜はレンタサイクルを引っぱって上がらないと無理でした。電動自転車にすればよかった…膝にきてしまった。
 

遠出できない時勢の中、近場で、日帰りで歴史的なものにたくさん触れる機会を持てて楽しかったです。探せばあるんだ。