ダンナの仕事が忙しく、土曜からいないので一人暮らし状態です。
結婚してからいちばん長く家を空けています。
最初から一人暮らしなのと、ふたりで生活しているはずの所で一人になるのとでは寂しさが全然違う。
家に帰って一言も口を開かないのが、ものすごく不自然な感じがする。
月曜の夜は布団に入っても眠れなくて泣いてました。
「こういう仕事の人だってことはわかってたじゃないか・・・これも修行・・・早く慣れなきゃ」
「新婚らしくて、カワイイわねえv ゲラゲラ」
「何で泣いてんだおまえは? そんなに自分がかわいそうか? 悲劇のヒロインか?? ああん??」
・・・などなど、脳内の声。
尼崎の列車事故が、ちょうど今の状況にリンクしてしまって、つらかった。
こんなむちゃくちゃな労働時間じゃ、彼も疲れからくるミスで事故を起こすんじゃないか・・・って。
鋼鉄をドロドロに溶かして延ばしてちょん切る、というのが彼がいる職場。
どの機械も人が巻き込まれたら確実に死にます。
そんなふうにどんどん思いがマイナスにいっちゃって。
そんな昨日、教育TVの『福祉ネットワーク』という番組を見てたら、河合隼雄氏がしゃべっていた。
思わず「あ」って声が出た。(笑)「あ、河合のおっちゃんや、めずらしい~」って。
番組のテーマが『うつ社会・日本』だったので、司会者がどうしても「うつ」に限定して話題をふろうとするんだけど、河合のおっちゃんは別にうつ病のひとばっかりを相手にしてるわけじゃないし、割と好きなように自分の思うこと、今までクライアントに接してきた経験を、なんというか、すごく「平ら」にしゃべってる気がした。
それがすごくおもしろかった。
本で読む河合さんの文章はもちろん標準語なんだけど、TVを見てて、実際のカウンセリングというのは生の対話だから、河合さんのとこへ来た人みんな、この関西弁を聞いて帰るわけで(笑)、それだけでも元気でそうだなあと思った。
(河合隼雄=ユングではないことはわかった上で、とりあえず隅に置いといて)
ユングの心理学のいいところ、河合のおっちゃんの言うことで「あ、いいな」「好きだな」と思えるのは
科学の勉強をしてきたくせに、あまり「原因さがし」をしないところ。
あなたにはこんなトラウマがあるね、ってほじくりだすのが好きな人は、いっぱいいる。
でもそこで放っておくだけなら、雑誌の心理テストでもできるよね・・・と思う。
カウンセラーは話を聞いた後、「この人の中にすごい宝石の鉱脈が埋まっている!」 とひたすら信じて、それを患者さんと一緒に探す。
ただもとの学校や職場に返すのではなく、新しい人に生まれ変わるための暗い道のりに、寄り添って手伝いをする。
とにかく「何か」が目覚めるまで「待つ」仕事。
これは一見すごくムダに思えちゃうような、でもなかなか本気で出来る人がいない仕事だと思います。
「患者さんも僕もめっちゃしんどい。ただ、僕の方は希望を持ってます」と、河合さん。
ユングも、河合さんも、とにかく人間がすごく好きで、人間の底力(専門用語だと『自己』)は素晴らしい! って信じてる。
あまた心理学者がいて、いろいろな説を言うけれど、ユング心理学は
「希望の心理学」
なんだと思う。
共感できることが、いっぱいあります。
うーん、まあワタシ自身がカウンセリングを受けたのが、10年以上前の思い出話だし・・・。
厳密に言うこころの病にかかったことがないので、こんなキレイごと言ってられるのかもしれません。
ホントに苦しい人は即効性のある薬物治療を求めるか、自殺するか、してしまうんでしょうね…
とにかくワタシは河合さんの話を聞いたり本を読んだりすると、なぜかわからないけどホッとする。
根拠はないけど、希望の火がポツとともる。
それでええやないか、と思う。(笑)
落ちこんでるときに、たまたま河合のおっちゃんがTVに出てたのも、何かの縁というか、めぐり合わせだなあ。シンクロニシティ??
・・・しかし、今日は帰ってくるのかなあ。