ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

『虎に翼』観てます。

朝ドラ観ない生活だったのですが とても話題を呼んでいる今期の『虎に翼』は観てます。観られないときは配信で。便利だ...

たぶん私向きの作品だ、と色々な方の評を拝見して観てみたら、どストライクでした。

www.nhk.jp

朝から法律やフェミニズムなどの、重めのテーマ、硬い話は観たくないな〜 という人もいれば、 このくらいズバー! と直截に、今日的で「自分が生きてる『今、ここ』 に繋がっている」と感じる話を 身も蓋もなくやってくれないと、毎日追っかけて観る気になれないな、という人(私)もいる。

私は今期の朝ドラで確実に引き寄せられ、つかまれた層だと思います。

「私の言いたいことを代弁してくれる」というと大変おこがましく、都合よく創作を利用してしまってるようで後ろめたくもあるのだけれど 知識のない私の言葉よりも「まずこの作品を観て。私があなたに伝えたいことが、フィクションという形態をとって語られている。」と紹介するのにとても助かるな、と思います。(今までの女性主人公の朝ドラにまったくフェミニズムの視点がなかったとは決して思っていません)

なんというか、「矢面に立ってくれる」ドラマがあるんだ、と思った。作っている方のお話からその気概・気骨を感じて嬉しくなった。

www.lmaga.jp

もちろん説明や説教臭さがなく、おかしみやエンタテイメントとして とても楽しいのも大事で、そこもすばらしいなあというドラマ。

 

以下はややコジツケというか 自分語りになってしまいますが...

私は幸運なことに家族環境に恵まれ(両親が、先世代の性的な役割の押しつけに辟易して、抵抗していて、それをずっと見てきました)進学した学校でも性差を意識することが少なく、多少交際した男性との関係で、モヤっとすることもあったけれど ほとんど性差別に悩まされたことがありませんでした。

「すでに男女の待遇格差などなく、もし女性の望む進路や待遇が叶わないなら、それはその人の能力不足・努力不足であり、またわがままだろう。」と、私自身が思っていました。

だけど、いよいよ結婚して子どもを産むと、「男性である配偶者は会社に行き、仕事のことだけしか考えられないように、ぎりぎりまで追い込まれ、身も心も長時間拘束される。残業で家に帰れないことも週に数回。

いっぽう私は出産したら子どもの監護のために、今までのようには正社員を続けられなくなった。パート勤めにして、いつでも子どもに何かあったら柔軟に対応するのは、打ち合わせも何もなく『非正規勤務で融通が利く』母親の私。…というのが当たり前になってるのは、これは個人に帰する問題ではないのでは。

目の前の彼に感情をぶつけても関係が険悪になるだけ。相手を責めて悪にしたいわけじゃないのに。彼ひとりではどうすることもできない、変えられないのなら自分に何ができるんだろう」というのが 色々な疑問を持つきっかけでした。

『虎に翼』はただ女が男社会に戦いを挑み、男のダメなとこを指摘するのではなく 「なぜそうなってしまっているのか?」 も押さえている作品だと思えて。

このドラマに登場する、男の人、一人一人、つきあってみれば優しさも尊敬も持ちあえる人たちばかりなのに(それは私の周囲の男性もそうで) それでも進学や結婚など、人生の選択を迫られた時の、ふとしたシーンで溝を感じしまう。そういう「男女というだけで、なぜ壁に隔てられなきゃならないのか。」 まで掘り下げている。

(寅子の、先に結婚した親友や大学の学友たちを通して、女性間にもそれぞれに出自による違いがあって...ということもハッキリと描かれてるので、それはまた別の機会に書きたいと思います)

hanako.tokyo

ちょうど今の展開は、主人公・寅子も出産と子育てのために一度法曹家の道をあきらめざるを得ない(さらに戦争のために、理解ある配偶者も親しい人々も奪われ...というダブルにもトリプルにもダメージを負う)という、すごい苦境に立っています。心折れた、しかしまだ「もっとがんばれたんじゃない?」と自問しちゃう挫折感や、でも生まれた子どもは、とてもかわいいことも、どちらも確かに「ある」感情なんですよね...うう、わかる!

うおートラちゃん応援してるー!! という気持ちでいっぱいです!!

脚本家の方のインタビューもとても良かった。『生理のおじさんとその娘』も好きだったよ~。

woman-type.jp