きのう、ウグイスのまだ下手くそな鳴き声を今年初めて聞きました。職場の周りに林があって毎年姿は見えなくても住んでるのは確かなのですが、なかなか初鳴きが聞けなかったのでなんか安心。記録代わりに書いておきます。春めいてきました。
『坂の途中の小鳩荘』、単行本を購入して読みました。
この漫画を知ったキッカケは、主に武将や日本史関連のイラストを手がけるイラストレーター・さくらいようへいさんのtwitterアカウントをフォローしていたら、パートナーの曽根愛さんの作品として、こちらを紹介していたからです。試し読みして、あ、すごくいいな、って惹かれて。
先に個展のために制作したイラストがあり、このとき描いたアパートと住人たちのバックグラウンドへ想像を拡げて生まれた…というのが漫画の成り立ちとのことでした。
ひとつひとつのコマがひとつのモノクロイラスト作品みたい。
小鳩荘が建ってるのが、坂の「上」でも「下」でもなく「途中」なのがいいです。もしタイトルをつけるなら、上か下か、そのほうが語呂がよく覚えやすいけど(すいません、買うまで「坂の上」と間違えて覚えてました)、「途中」なんですね。AかBか白か黒か、どっちかでなく、どっちでもない場所というのが。
きっと曽根先生が作品を描くときの心の置き所が、そういう場所なんだろうなあと想像しました。
私がひとりだったら住みたいなあ~と思う、ある意味理想のアパートが小鳩荘でした。
全然ひとり暮らしする予定はないですよ…まったくの夢ですけど、最近そういう空想をするのが楽しくて。旅先で、駅前の雰囲気とか、路地とか個人商店とか、観光スポットからはずれていても気に入った場所を見ると「ここで暮したらどんな毎日になるだろう」と、考えたりします。
小鳩荘の大家さんはチャーミングなおばあさんで、人が好きなタイプだけど、おせっかいというわけではない。立ち入り過ぎず「見守る」距離感で、疲れたり、つまづいたりした住人たちに接してくれる。
ありふれた言い方ですが「適切な距離感」「ゆるやかなつながり」が心地よい、息がしやすい空気が流れてる、そういうアパートだなって思います。
私が親近感を持った住人は、駆け出しイラストレーターの早川さんと『宇宙人』の山本さん。でもどの人たちも、ちょっとずつ自分や身近な人に似てる、と感じるところがあります。
ホッとできる漫画です。