ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

田中圭一の「ペンと箸」:-漫画家の好物- を読みました。

ぐるなび」コラムサイトで、連載が始まった時から好きだったエッセイマンガ「ペンと箸」、このたび連載完結・出版されたということで早速読みました。

田中圭一の「ペンと箸」 (ビッグコミックススペシャル)

著名な漫画家のご子息と思い出のメニューを食べながら、親子の思い出を掘り下げる、という企画です。Eテレの「グレーテルのかまど」の漫画版、ていうのがいちばん近いかも。さらに各エピソードをインタビュアーの田中圭一氏が漫画家さんの絵柄タッチにソックリに描くのがすごく面白いんです。

赤塚不二夫先生の娘さんのお話がいちばんグッときました。葬儀の祭壇に置かれた自身の作品が、娘さんを笑わせ、死別の苦しみから救うなんて。ギャグ漫画家にしか出来ない最後の素敵な贈り物ですね。

ただ、こういった取材に応じて親との関係を語ってくれるご子息ばかりではないのだろうなぁとも思いました。相当お断りされた方もいらっしゃったのでしゃないかと。漫画家だけに限りませんが、忙しく不規則で、ほとんど子どもに会えないような働き方をしている人で、子どもが成長した時に振り返って思い出を語れるような、和やかな関係を結べている人ばかりではないだろうな、と思うからです。

ぶっちゃけると「妻子とすっかり険悪になり、別れたきり会ってないし、消息も知らない」という漫画家さんも 知っていますし。

「語れる」というのはある程度出来事を相対化して、すでに過ぎたこと・語り手の中で消化できたことしか、話せないから。未だに語れないような複雑な思いを抱える、作家や芸能人の二世の方々は、このような取材に登場しにくいのでは、と思います。

ほんとに、いろいろな親子関係がある。「いろいろある」なんて、ひとことでは片付けられないくらいに。

ソレは置いておいて、この本に登場される親子の皆様はどのご家族もほほえましくて楽しかったです。