ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

映画 『スオミの話をしよう』 観ました。

入院前、少しでも元気出そうな、明るめの作品観とこう! と思って行ってきました。

suomi-movie.jp

以下、ネタバレ&ちょっと辛口です。

おもしろかった、笑ったけど、ずっと「予想通りの面白さ」って感じがしてしまって。
ミステリーだとは思ってみてなかったんだけど、予想を超えるものも裏切られた感じもなかった…という意味で、「つまらなかった」なあ…。

「これ、映画でなくてもいいんじゃない?」 という身も蓋もないことを思っちゃって。舞台のほうが合っていそうな筋立てだな…三谷さんのやりたいことをやって、うまくはまるのは舞台なのかも…と、再認識するお話だったかも。 

舞台装置としての、あの現在の夫と住んでる豪邸は好きです。素晴らしくインテリア凝ってるんだけど、主人の性格を反映して、何かとぼけちゃってる悪趣味さがとても良かった。(アンモナイトのオブジェが柿の種の器になってたのが忘れられない…w)セットが「もうひとりの登場人物」みたいだった。

その豪邸セットの中をうまーく使って、歩いたり走ったり座ったり、クルクル立ち位置を変えながら、ほとんどカットなく流れる用にお芝居をするキャストの皆さん。すごい計算しつくされてる(そこが演劇っぽいのかもしれない)。うぬぼれ、未練、みえっぱりなど、どんどん出てくる、元夫たちのしょうもなさ。クズってわけじゃないけど、あらゆる「トホホ」のバリエーションを描いてるの、ほんと天下一品よ…誰もがはまり役で、お見事でした。

キャラとして好きなのは魚山(エンケンさん)と十勝(松阪さん)です。『虎に翼』 でも大活躍だった戸塚純貴さんも! 三谷さんが絶対好きなタイプだな~と思った。これからも監督・脚本作品に呼ばれるだろうな~。

弥十郎さんと、瀬戸さんの役どころ、ひょうひょうとしたマイペースぶりは、すごく 『鎌倉殿の13人』 を思い出しました...w

元夫たちはみんな面白いんだけど スオミの 「結婚するたびに相手に合わせて別人のように演じ分けてしまう女性」 というキャラクターが、自分にとっては、生々しくて。

長澤まさみさんのお陰で、ありえないくらいファンタジーなキャラにしてくれてはいるんだけど。やっぱり「なんか、わかる」って、身に覚えがある、多かれ少なかれ実感をもってしまうな。「七変化」をおもしろがるより、そうやって生きるように、クセがついてしまった女性なんだなあ、ものがなしいなあ。もう今後は男抜きでズっ友の同級生(エマさん)と2人の相棒同士で生きていくので、いいんじゃないかなあ? なんて考えちゃって。別に掘り下げなくていいところを。

そういうのがあって個人的に、コメディとして消化できなかったのかなあと、思いました。