ドアの猫穴

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ほんとはこわい「やさしさ社会」

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書 74)

中高生向けの文章だけど内容は重い。読むのがつらく、時間がかかりました。

でも、今心の中にモヤモヤしている気持ちに形を与えてくれる文章でよかったです。

特にネット上でよく出会う気がします。この「何人たりとも他人を傷つけてはいけないし、こっちを傷つけても許さないぞ!」という考え方。誰もいやな気分にしないのが「やさしさ」だって言う人。

お互いが一時的に不快になることを恐れて腫れ物・壊れ物扱いするのと、「個性を尊重」し合うのは、根本から違うと思うんだけどな。

今の関係を壊したくないから口をつぐむのと、相手のためと思って敢えて耳に痛いことを言うのと

どちらが相手に対する信頼が深いか? と考えると、後者の方でしょう。

相手が変わる・成長する可能性を信じてるから「それは良くないよ」と言えるんだと思う。

生きた人間は、心も体も癒えるものなんだから、その治癒力を信じてぶつかってみればいいじゃない。

壊れたり傷つけたら終わりなんて、相手をモノ扱いしてるみたい。

おせっかい焼いて受け入れてもらえなかったら、こちらもダメージ受けるけど・・・

でもそれだってちゃんと立ち直れるから、大丈夫。

 

どいらかといえば、ワタシは古いタイプのやさしさ文化(著者の言う「やさしいきびしさ」)の中で育ってきた人間なのかな。

家庭の中からして、しょっちゅうあけっぴろげに喧嘩してて、そしてその程度で絆は壊れないものだっていうのを学んだから。

 

著者の「気軽に言ってみて、傷ついて、気軽に謝れる」社会が生きやすいんじゃないの? という言葉に共感しました。一回の過ちも許されない世界は、しんどい・・・と、学生のころのことを思い出す・・・。

あ、著者の学校裏サイトについての考察はちょっとこじつけた感がありましたが (笑)

 

まとまらない感想ですが、「何となく身近な人と付き合うのが疲れる」という人にお勧めしたいです。