ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

知ってるつもりで実はちゃんと読んでない「不思議の国のアリス」。

ちょっと必要に迫られまして「知ってるつもりで実はちゃんと読んでない」作品のひとつ「不思議の国のアリス」を読みました。

が、いまいち夢中になれないのは、ワタシの頭が固いからなのか...

こちらの本は ふつうの挿絵ではなく、たくさんの画家・造形作家さんと アリスに扮したモデルさんのコラボによる物語世界をイメージした写真が差し込まれていて、とても華やかです。

私は、今までこの挿絵のような、アリスから派生して出来たいわば二次創作的イメージをこそ「アリスの世界」と思っていたのかなあ、と。原作に当たると、またちょっと見方が変わりました。

不思議の国のアリス ビジュアルファンBOOK

ページ下半分に 原語である英文が載ってるのですが、そのわけがわかった。この物語は言葉遊びがいっぱいで、英語で読んでこそ韻や洒落を知って味わえるし、

その文脈には当時の英国の、さらにあるレベルの知識階級の人々の常識に合わせた、ユーモアやジョークが織り交ぜられてるんだろうなあ、と思いました (きっと何かしらの出典元や、フォークロアが含まれてるんだろうなあ...というシーンだらけ。一部は巻末で解説されています)

アリスの世界はほんとに、夢の世界ですね。どちらかといえば悪夢寄りの。

寝ているときに見た夢を起きてから記述なり描写なりしようとすると、醒めたときの意識が修正を加えて、ストーリーや会話の一貫性などに整合をつけてしまうものですが、キャロルは「無修正撮って出し!」の夢を、ホントにその通りに描けちゃう人だったんですね。狂人に近い天才。

子どものころは、それは誰でもできたことで、目覚めながら夢と現実の境目に住んでいたのかもしれないけれど。なかなか 誰もが大人になっても、アリスのような感受性のままではいられませんよね。

この世界をおもしろがるには「童心」があって、アリスになりきって、不条理に適応していける、柔軟な頭が必要だわー。

巻末には、作品の背景となる 作者ルイス・キャロルの生い立ちと人となりについての解説もたくさん載っていました。 「ルイス・キャロルはロ○コン」などと まことしやかに言われているけれど、そう単純に幼女好きだったのではなくて「ガーリーなものにいつまでも憧れがあって、どちらかといえば、自らが少女になりたい願望があった」ひとなのでは? と思いました。

「モデルになった少女アリス・リデルの人生(プリンセス・アリスになるかもしれなかった!)」「アリスの服はなぜ水色?」「アリスが日本のサブカルチャーに与えた影響」などの豆知識コーナーもあり、こちらはどれも興味深かったです。