ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

漫画「電波オデッセイ」読みました。

ふと 「自殺する前に読んでください」 というつぶやきと共に流れてきた書評から

興味を持ち、買ってみた漫画「電波オデッセイ」。

電波オデッセイ(1) (fukkan.com)

とにかく 2巻の最初あたりまで読んだ時「これはすごいものを 読んでしまった・・・」という すごい ドドドーっと押し寄せるものがありました。

こんなに泣いた、本当に涙を流して嗚咽をこらえて読んだ漫画が今まであったかな。

これは今まで生きてきた中で、いちばん好きな漫画になるかも・・・って思いました(これからまだ、素敵な出会いがあるかもしれないけど)。

以下、ネタバレあり感想です。

とりあえず 1巻の半分くらいまでに 主人公の周囲、通っている中学校では

家庭崩壊・ネグレクト・引きこもり・いじめ・スクールカースト・依存する母娘・摂食障害・・・と 盛りに盛ったなー! という感じで次々にいろいろなことが起こります。

でもギャグ漫画です あくまでギャグなんです(これ大事)。カオスで笑えます。

読んでると もちろん自分が中学生だったころの記憶の扉が開かれます。

その記憶の部屋には だいたい愉快じゃない出来事が ジメジメと詰まっています。

でもギャグなので 開くことによって「風通しが良くなる」感じがしました。 

多くの復刊を望む声によって再び世に出た漫画だそうですが、復刊に際して足された書下ろし漫画「テン天さま」にも本当に涙腺を持っていかれました。

子どもだった主な登場人物が成人して結婚する後日談、で有名なのは「のび太結婚前夜」ですが。

この書下ろしのカワベリ氏(のび太のダークサイドみたいな男)が、トモ子ちゃんとの挙式に望むときの気持ちが

あまりにもあまりにも、ワタシの結婚直前の心理をほじくり返されるようで(笑

「ああああ!!! あるあるある!!!」 だったので、夜中に読みながら涙と鼻水を流して号泣しました。

そして最後の 大人になった読者への、主人公・スミ子(=作者)のメッセージにも。

あと2巻の いじめグループリーダーの心理や、家族の話を読んでて

家がお金に困ってるわけでもなく顔もかわいかったのに ウソをついたり、内緒の話をばらしてしまったりするくせがあって、万引き常習犯だった小学校の同級生を思い出しました。

他にも どの登場人物も己の分身のような、自分の中にいるような。

ああクラスにこんな人いたなー、と思ったりもする。

ギャグでかつ、とてつもなくリアル。

あとは とりとめもなく。

・スミ子の母が失踪したのも死んだのも、精神の病がきっかけだったのかな、と考えるのは・・・うーん あまりにもありきたりだし 安易か。病んでいたとしたら 「純子はもういないよ」って父親に連絡した頃から かな・・・。

スミ子の母は良くも悪くも とても繊細な おとなになれないままの人であったのだろう と思います。

・小学生の頃の スミ子の大ケガも 母親が関わっていることは確かなんだろうけど、それは母娘しかいないときに起きたことだし

スミ子自身も封印していたみたいだし、何より作中ではっきり描かれてないし (他の子の事情や家族のことはわりと全部描いちゃう作者なのに)意図的に、描いていないんだろうな。

・あの頃の自分がずっと泣きながら付いてくるけど、まだ抱きしめてあげられないけど

「その子を外から見ている」ということは、今の私は違う人間になっているんだよ。

ちゃんとあの頃とは、違う場所に立っているんだよ。っていうシーンが すごく好き。

「過去は忘れた!昔の嫌な自分は死にました!」と言う人よりも

すごく強くなくても 過去と手をつないで そんな「昔」もそこにいていいよ といえる人に

「しなやかな強さ」を感じる 心ひかれる 感じがする 友だちになりたいな・・・ って思う。

「自殺する前に読んでください」は 大げさじゃなく。

「まあ、読んでからでも遅くはないから」と 気軽に差し出してみたい です。