弁当を買いにコンビニに入って、たまたま手にとった本に、すごく不愉快にさせられました。
朝から痴漢に狙われてしまった気分。
「つまらなかった」レベルの文句じゃないな。ワタシが店員なら返本したい。これ以上他の人の目に触れさせたくない。ここまで文章で嫌な気分にさせられたことはあんまりない。
というわけで、ちょっと毒吐きさせてください・・・。
ソレは『30秒でわかるベストセラー』というタイトルです。確か。
最近コンビニに「5分でわかる●●」系の雑学本って増えてますよね。あの系統です。
そういうジャンルの知識なら、書いてあるままのこと、定められた内容、それ以上に意味はないわけですから、大事な点を手っ取り早く説明してくれる本があるならどんどこ出して欲しい、と思います。
さらに勉強しなきゃいけなくなったときには、今度は専門書にあたればいいと。
でも。これ、対象が「ベストセラー」ですよね。
なんかおかしいな、って思っちゃったのです。
売れてる本ということは、どこの本屋でも店頭に積んであるわけですよ。
それをめくる時間もないほど忙しい人や、そもそも文字が好きじゃない人は、これも読まないんじゃないでしょうか? (笑)
だから、この『30秒でわかる~』は、何のために出した本? 誰が買うの? って、考えてしまって。
おもしろそうな本を探すための本なのか、と思ってみたけれど、違う気がします。
ワタシが好きな『指輪物語』と『姑獲鳥の夏』が、まあ、ありがたいことに一応ベストセラーに数えられたらしくて。そのあらすじと書評があったのですが・・・。
コレが、ひどい。(笑)
ワタシの作品への個人的思い入れをさっぴいても、こんな書評じゃ『この本読んでみたい!』って思えないです。
いや、読ませる気はないんだろうな。
この2作品については、やたら「長い・ぶ厚い」という表現が目に付きました。
「『指輪』の途中挫折率はなんと8割!』とか。
これは根拠のある数なんでしょうか? あったとしても、そう書くことに何の意味が??
『こんなに長い『指輪』の原作だが、では読む価値はないのかというと、ちゃんとある。・・・』
・・・なんだよ・・・そのとってつけたような、しかも失礼なフォローは・・・!!!(怒)
長いか短いかは読んだ人が決めることです。
まず読んでみて、挫折すりゃいいし、なんだつまんねー、と思ったっていい。
今は無理でもいつか読む気になるかもしれません。そのときは面白いかもしれません。
小説読むなんて、もともとムダばかりの行為。それを省いたら読む楽しみなんてほとんどないでしょう。
あらすじと結末だけが、本にとって大事なことじゃないはずです。それを放棄させないでください。
書評を書くなら、その本が読みたくなる魅力的な表現を磨いてください。
(ちなみにうちの職場には、どんな駄アニメもまるで大傑作のように解説する素晴らしい才能を持った上司がいます。 笑)
これから愛読者になるかもしれない人を、入り口に立つ前にしょげさせて誰のためになるんでしょう。
そんなに他所の出版社にお金が入るのがイヤなんですか。
ねえ、この本作った人。あなた何がしたいの??
これは誰がターゲットなの???
「本読むの嫌いだし、かといって話題に乗り遅れるのもイヤだし、
とりあえずあらすじだけ知っとけー」みたいな人のためのもの??
これだけ読んで、例えば
「姑獲鳥なんて、あんなのトリックって言えなくない?」なんてぶられたら、ものすごくイヤです。
ならいっそ「活字嫌いだから知らん!」と潔く開き直ってくれる人の方が、ワタシは好きだ(笑)。
まあ、まっとうな書店ではこの本は置いてるのを見たことがありませんけど。
当たり前ですが!!
こんなの読んで読んだ気になって原著の方を買わない、なんて人がいたら、
売上げの問題以上に、本を愛する者として泣きたいほど悲しいです!