ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

ドラマ 「ももさんと7人のパパゲーノ」 観ました。

www.nhk.jp

楽しみにしていたドラマでした。

「パパゲーノ」は、「死にたいけれど、今は違う選択をして生きている」 ひとたちのことだそうです。

死にたいという気持ちを克服しようとしているわけでも、乗り越えたわけでもなく 「抱えている」 ひとびと、かなあ。

もも(伊藤沙莉さん)と雄太(染谷将太さん)の、まるで演技ではないような自然なテンションで、淡々とした言葉のやり取りが素晴らしくて。ほかのキャストの方も「自然体」って感じで…BGMは流れているのに、全編が「静けさ」に満たされていて…。

自殺防止というテーマに長く取り組んできたNHKの福祉番組担当の方の、当事者への取材をもとに制作された、ドキュメントとドラマの境界が溶け合うあわいに存在するような物語だった。


以下、感想メモとか連想とか。

 

「さっさと死ねばいいのに、だらだら生きちゃってるな」と、自分に対して思ってます。

↓最近そう思ったときの記事。だいぶドラマの内容とリンクしていることが多くてビックリしました。「私は正常でない・普通でない。でも正常なふりをしなきゃ。普通にならなきゃ」という感覚と、死にたさは、近いところにある。

「生きてても迷惑かけるだけなので、死にたい。けど死んでもあとかたづけするのに、迷惑かけそう。どうしよう」「なんで迷惑かけるのがこんなに怖いんだろう」というのもあります。

ひっくり返せば

・自分が正常に振るまえているかどうか、気にしなくていい

・「迷惑かけてもいい」「迷惑だと思われてない」 安心感がある

という場があれば、死にたい気持ちは鎮まって、うすまってるなあ~、と感じられます。

nekoana.hatenablog.com

もうほぼ自分語りになっちゃいますが。

ドラマの 雄太→もものせりふ
「楽しい事の見つけ方を募集してたと思うんですけど 本当はどうやってつらい時しのいでるかという話をたくさん聞かれてると思って」 について。
楽しい事を、楽しい~! って思ってやってる人もたくさんいるけど、中には死にたさ・消えたさを考えないようにするため、 「それしかないからそうしてる」 タイプの人間もいるな~と思います。外から見てもどっちかわからないですけど。パッと見、趣味や仕事をしてるんだけど、やっているひとの内面では「依存」というか…

ブログにたまに書いてたんですけど  「絵が描けなくなったら死のう。」  と思ってて。

そんな風に描けて楽しいでしょうとか、生きがいがあっていいね、と言ってもらえることあるんですけど。

楽しいのかなあ、いいのかなあ、というのが実はよくわからないです。

他人から評価されないのも貶されるのも平気なので、それらが死にたいトリガーになることは、よほどでなければないですけど。自分で「ダメだな」と思ったら、ダメだろうな。私の存在価値ってお絵描きしかない。

見る人が楽しんでくれるのは嬉しくて。だけど描いてる私は、「楽しくてやってる」というより「これしかないんだよ」みたいな、すがるような気持ちでやっている。自分に向かって「描けるうちは、生きてていいよ」ってゆるすために、お絵描きにしがみついてる感じがします。

ものをつくる人の中には「死なないために、つくってる」という切迫感のある人ない人が(もちろん度合いはグラデーションで)いらっしゃるんじゃないかな、と思いました。

描けなかった頃の記事↓

nekoana.hatenablog.com

news.mynavi.jp

死にたい人を追い詰める側だった、思い出もあります。

ももさんの彼氏のようなことを今まで話してくれた何人にも言ってしまってた。自分が言われて傷ついたことはしつこく覚えてるくせに、傷つけたことはすぐ忘れてしまっていた。無遠慮だなあ…! と省みました。励ましてしまった人たちとは(やっぱり)縁遠くなってしまい、今はどうしてるかわかりません。ごめんなさい…と今さら言っても届かないんだけど…。

傷つけられた側でも、一方で傷つける側になる、容易に。それは心に留めておかないとなと思う。

あれは自分に言い聞かせている部分もあったのかもしれない。「そんなこと考えちゃダメ!」って死をタブー視せずにはいられないとき、「ポジティブ」と強調するとき、意識化できてない、見ないことにしてる生きる虚しさが、あるのかもしれないと思う。自分をゆるせないと、他人のこともゆるせないのかも…

あと死にたい者同士でも、合わないなあ、って人は必ずいるので、話せば分かり合えるものでもないですね。

ラストの ももと雄太のやりとり 「自分と同じように眠れずに夜更かししているひとがどこかにいる」 と感じられることで、何か安らぐ。そのくらいの、立ち入り過ぎない、気配が感じられる、くらいのつながりが、死にたさを抱えている人にはやさしい、のかもしれないです。あ、それが「寄り添う」っていうことなのかな…

(私は夜更かしすると、より死にたくなるので夜更かし苦手で。すごく早起きしてまだ起きてる人が少ない静かな時を共有できてる人がいたら、ホッとするかな~。)

 

www.nhk.or.jp

ほんとね…ラストにいたっても この先、主人公にどんな道があるか全然見えないのに、わかりやすい結論めいたものも何もないのに。ジンワリ心を温めてコリをほぐされるような不思議さ。

す、すき…作ってくださってありがとうございます。と思えるドラマでした。見逃し配信してるけどTVで再放送ないかな、もっとたくさんの方に観てほしいから…。