5回目は、天文学者・国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長 本間希樹先生の 『国立天文台教授が教える ブラックホールってすごいやつ』 です!
本文漢字にはすべてフリガナつきで、小学生から読めます。内容も、今までの子ども科学電話相談での回答内容と重なるものが多いです。
特筆すべきは このイラスト。
も〜うこれは! 吉田戦車画伯の挿絵(いや1コマ漫画か)のパンチが強すぎる! アシスタントの宇宙田くん! ハッブルの銀河パーンチ!! よく探すと、かわうそくんもいるよ。
…でも宇宙とブラックホールの広大無辺さ、空間と時間が捻じ曲がりまくった、めまいがするケタのスケール、不条理としか表現できないさまを ビジュアルで表現するにはピッタリかもしれない。本間先生の文がわかりやすくホノボノとしているのともマッチしている。
本間先生がお勤めの観測所がある岩手県水沢市が戦車先生の出身地というご縁だそうです。先日のラジオの中継放送によると、あの宮沢賢治も訪れ作品のインスピレーションを得たという、由緒ある天文の聖地でもあるそうです。
なんかこう、ブラックホールや宇宙の始原などの常識を超えちゃう宇宙物理学にまつわる用語って 科学の世界のはなしなのに、詩とか 文学のような表現に近づいていくのは、なんでだろう...。
『宇宙の晴れ上がり』 『事象の地平線』とか…その意味より響きが先に入ってきて「かっこいい!」って感じる。(抜け切らない中二病)
賢治だって、農学も地質学も、お百姓さんの生活を豊かにするための研究をしていた バリバリの理系で。なのに究めてつきぬけて、アウトプットされたものはファンタジー文学に至っている...
科学者をギリギリまで熟考させ追い詰めた果てに、説明するための言葉を詩的にしてしまうのが、宇宙というジャンルなのかもしれない(でも天文学者はその「追い詰められ」もまた、楽しんでる人たちのように思います)。
シュールなギャグ漫画の挿絵と最新の天文知識が 奇跡のコラボをした本書を手にとって 門外漢はそんなふうに思いました。