大河ドラマの予習...というわけでもなく 『決戦!』アンソロジーシリーズを少しずつ読んでおります。
ひとりの英傑が謀反により命を落とした という、事実だけなら余りにも有名であるがままの事件を、多角的な視点で掘り下げることで これほどたくさんの解釈と物語が生まれるのかという…。それが驚きです、改めて。
「二条城にいた信忠がなぜ逃げ延びなかった?」の方に、作家の皆さんの興味があるような作品が多かったな。私もたしかにそれは思ってた...。 父親が殺されたら、跡継ぎはどんな手段使っても逃げて生きなきゃダメだろ〜〜!! ってのもまた、現代の価値観なんだろうけど。
どの篇も好きなのですが 特に気に入ったふたつをあげると
『焔の首級』 …美貌の小姓・森乱丸の、短い命を散らした青春ストーリー? 彼が慕っていたのは信長その人ではなく、自身が膨らませてしまった理想の人格、幻影の信長だったのかもしれない...。「汚いものは、許せない」あまりにも潔癖な若者ゆえの残酷さ。
『宗室の器』 ...のちに秀吉の朝鮮出兵に抗い、福岡城の築城にも関わる博多の豪商。名茶器・楢柴肩衝を持っていたために 茶会に呼び出され変に巻き込まれた島井宗室が主人公の物語。『決戦!大阪城』にも商人視点の戦場を描いた作品が収録されていて、そちらも好きなのですが 武士と違って死に様などこれっぽっちも考えない「生きてこそ! ナニクソ!」という、あらゆる手段で鉄火場を生き抜く、常に「明日がある」エネルギーに惹かれます。
次は『決戦!設楽原』(長篠)を読みます!
過去のシリーズの感想はこちら。