ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

イラストを再公開しました。

掲載をやめていた 刀剣乱舞×信長の忍びのクロスオーバーイラスト作品を、再度公開することにしました。

たくらめ! ごいんきょさま

「DOORS」は近々閉鎖するので、サイトには再掲載しません。Pixivやこれから更新するブログの内容、SNSについてです。


○私が公開している 信長の忍び・関連作品の二次創作イラストについて。

  • 重野なおき先生ご自身 または重野先生の作品を編集出版している企業の法務担当者より指導をいただいた場合は、作品の公開方法・公開範囲を、御指示の通り削除または変更いたします。
  • 賠償及び罰則事項が発生した場合、すみやかに従います。


○今後、公開するすべての二次創作・パロディ作品について。

  • ドアノブが書いたものであることをサインで明示します。(サインを消去・改変してわかりづらくする転載行為はどんな目的でもおやめ下さい。)
  • 原作者・版権元とは関係ない、作品のファンによって制作されたものであることを明示します。
  • イラストを使用した、原作者の利益を侵害するおそれのあるグッズ制作は行いません。
  • 私の作品について「ご指摘・ご要望」を含むメッセージを送られる時は、お名前(ハンドルで結構です)/(あれば)社名など所属先/どちらで私のイラストを見たのか/連絡の取れるメールアドレスを添えてお送り下さい。 

    ドアの猫穴 ご意見フォーム

  • 今後、連絡先等が不明な方のご要望に反応や対応はいたしません。

以下は再公開しようと決めた理由です。長いですが お時間あればどうぞ。

 

昨年10月のブログ記事に掲載の、Web拍手の内容を、もう一度引きます。

重野先生の絵柄そっくりで二次創作は危険なのではないでしょうか?私も最初、重野先生が刀剣乱舞の二次創作をやっているのかと勘違いしました。
重野先生のファンなのは色々拝見して充分理解できますが、憧れで影響を受けたで済まないレベルに見えます。

 

この「危険なのではないでしょうか」という言葉について、「想定される具体的な『危険』とは何だろう?」
と、ずっと考えていました。(なぜこだわったのかは、後述します)

作品を削除した後、この拍手を送られた方から「御対応くださってありがとうございました」と、メールフォームよりメッセージが届きました(転載許可をいただいていないので 全文掲載を控えます)。やはり「炎上と、今後同ジャンルの二次創作が禁止されるのではないかと心配だったので。」との言葉もありました。

私のイラストが著作権を侵害するとして出版元に問題視されること。それがきっかけで重野先生の作品に関する 一切の二次創作活動が、重野先生自身、または出版社から禁止される。
そうすると、同じジャンルでファンアートを楽しんでいる すべての方々が悲しむ、迷惑をこうむる、ということ。

「これはパクリ作品だ」と騒ぐ人があらわれ、私のサイト・SNSなどが検証などの名目で拡散され
いわゆる「炎上」する。(「パクリ」も「炎上」も聞きたくもないイヤな言葉ではありますが仕方なく使います)。
という二つを危惧されていました。

(匿名で連絡先もわからない方なので 憶測でおぎなってしまうところがあり、すいません。
「通りすがりの者です」と仰っていたので、もうこのブログも見ていないかと思います。)

私はそのようにこの文面をとらえて、昨年秋、拍手を頂いてすぐ該当イラストの公開をやめました。

しかし、今は(ここから言葉が強くなってしまいますが)
通りすがりで匿名の「著作権者ではない」と名乗る方の「危険ですよ」と仰った言葉にしたがい 作品を非公開とした事は、先走り過ぎた「自主規制」だったと今は考えます。あわてて消してしまったことを後悔しています。

決して原作が違う作品どうしのクロスオーバーイラストに、オリジナリティがあり、作品として通用するものだと 堂々と広める気持ちはありません。
書き手としても読み手としても 原作者・版権者の方の好意ある「スルー」によって、見逃していただいて楽しんでいる一人です。
ファンの作品であっても 原作のイメージを侵害したり利益を侵しているという、著作権者の判断があれば、しかるべき対処を受けます。
その覚悟なしに 例え二次創作の「お遊び」とあっても言い訳は出来ない。公開は出来ないと知っています。

しかし「著作権等侵害罪が(今のところ)親告罪である。」ということは、絶対に伝えたいです。
それを伝えたいので 公開をまた始めたようなものです。

「『黙認』じゃなくて、ファンの二次創作同人活動に関する、どんなことはOKで何がNGなのか公式ガイドラインを示してくれればいいのに」と お思いの方も多いと思います。
それをしない理由を出版元側にいらっしゃった方が、とてもわかりやすく書いて下さったものがありました(もちろんすべての版元にあてはまる事例ではないです)。

よく言われる「著作権を侵害する恐れのある作品」についてちょっと書かせて頂きます。
二次創作を通して作品を盛り上げてくれている皆さんへ

 

  • 現在オリジナル作品で活動しているプロ作家さんも、かつてコミックマーケットなどの同人イベントに参加し二次創作活動をしていく中で育った土壌があること。そこから来る「同人活動が表現を育む場である」という理解。
  • 「独自ルールを作る」=「ルールを破った者に対してアクションを起す業務が生じる」という事態を避けたい。
  • 「原作を越えるかもしれないものだったら、当局に通報する前に直接作者へ連絡します(スカウトする、は冗談であろうと思いますが)」というスタンス。
  • タダでさえ忙しいのにチェックに割く手が足りないこと。

 

これらが「黙認」している理由として挙げられています。

加えて 司法や警察にはたらきかけ、取り締まることができるのは 著作権を持つ立場の方です。
その許容範囲は それぞれの場合・事例・影響力に応じて判断されるもので、「どの程度、画風が似ているか」や「○○の要素があるから許されない」という「一律の」基準はない、とのことです。

また告訴を受けるのも 捜査や指導が入るのも、違反する行為をした「個人」と 著作権者間でのやりとりになります。
同じジャンルの二次創作活動が一律に禁止されたり、ジャンル内で活動していた他サークルや個人に同じ罰が示されることは、あり得ません。

「ある」と感じるなら、それは「あのジャンルで何かあったそうだから、今後は避けよう」という
作家間での暗黙の自粛。同人誌印刷会社などの企業が作った「自己ガイドライン」。「当方は責任は負いません」という、免責事項のようなものです。
そしてそれが あたかも「公式から禁止されたから」として広まっています。

ディズニーの同人誌は本当に危ないのか?
「コミケはディズニー同人誌の頒布を禁止している」とする風説について

著作権者の方々は、とても慎重にその権利を運用行使して下さっています(もちろんその寛容さに甘えて、やりたい放題やっていいわけではないです)。

繰り返しになってしまいますが「アウトか・セーフか」の判断を行い、実際に民事・刑事両方の法的措置をし、捜査機関を動かせるのは
現在施行されている著作権法の下では著作権を有する方々にのみ、行えます。

[一部の例外として。
昨今、漫画等出版業界に大変な損害を与えた、海賊版や、無料転載サイトのように
「原作のまま」を無断で配信・配布する行為については 平成28年の法改正により、非親告罪著作権者の申告が無くても捜査・告訴が行えるように)なりました。


環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備 | 文化庁

(2)著作権等侵害罪の一部非親告罪化(第123条第2項及び第3項関係)


改正前の著作権法においては,著作権等を侵害する行為は刑事罰の対象となるものの,これらの罪は親告罪とされており,著作権者等の告訴がなければ公訴を提起することができませんでしたが,今回の改正により,著作権等侵害罪のうち,以下の全ての要件に該当する場合に限り,非親告罪とし,著作権等の告訴がなくとも公訴を提起することができることとしています。



    • [1]侵害者が,侵害行為の対価として財産上の利益を得る目的又は有償著作物等(権利者が有償で公衆に提供・提示している著作物等)の販売等により権利者の得ることが見込まれる利益を害する目的を有していること

    • [2]有償著作物等を「原作のまま」公衆譲渡若しくは公衆送信する侵害行為又はこれらの行為のために有償著作物等を複製する侵害行為であること

    • [3]有償著作物等の提供又は提示により権利者の得ることが見込まれる「利益が不当に害されることとなる場合」であること


これにより,例えばいわゆるコミックマーケットにおける同人誌等の二次創作活動については,一般的には,原作のまま著作物等を用いるものではなく,市場において原作と競合せず,権利者の利益を不当に害するものではないことから,上記[1]~[3]のような要件に照らせば,非親告罪とはならないものと考えられる一方で,販売中の漫画や小説の海賊版を販売する行為や,映画の海賊版をネット配信する行為等については,非親告罪となるものと考えられます。

 

購入するべきものをタダで見たり聴けたりすることで 著作者に払われる正当な利益が損なわれます。その被害を重く見ての対策です。これは今後も進んでいく流れでしょう。
ファンは 公式の創作物をキチンと対価を払って購入し、転売や海賊版に決して手を出さない。そういった形で応援し、愛情を伝えるのがまず第一です。]

「炎上する『かもしれない』」「危険だから、対応した『ほうがいい』」と言う 一見やわらかいひとことですが。
それは私だけでなく、二次創作作品を作っている者にとっては「下手」「つまらない」などの感想とは次元が違う、ショックな 声を上げにくい「おどかし」です。
たとえ正しいことだという気持ちからの、助言であってもです。
誰でも作品が好きでファンアートを描いてる人間は 原作者にも、同好の士にも、迷惑はかけたくないと思っているからです。

著作権の所有者「ではない」あなたが、もし「それ、危ないよ」と言いたくなったとしたら
ちょっと立ちどまってみてほしいです。

「危ない」根拠は、なんですか。
その例は、どこからきいたものですか。
このファンアートがあることで「傷つけている」「侵害している」ものは、何ですか。
私や他の二次創作作家さんが 「危険だ」と指摘を受けた作品を、消したことによって
守られたものや、助かった人は、いたのでしょうか。

その「危険だ」と思って 指摘した気持ちは、二次創作に携わる人を
伝え聞きによる かたよった著作権の知識(多くは拡大解釈)によって、
「炎上」案件に仕立て上げる人と、根が一緒なのではないでしょうか。

著作権保持者と、その要請による捜査機関の適切な権利の行使でなければ、
匿名掲示板や捨てアカウントが行っている「検証」や「告発」と同じく
正しさの仮面をかぶっておこなわれる、「リンチ(私刑)」につながります。

たいへん強い言葉使いでごめんなさい。
以前、トランスフォーマーのイラストを描いていたときも 同じような匿名(いわゆる「告発専用の捨てアカウント」)での指摘を受けた経験があり、
つとめて無視していたのですが つかれてしまって 実質TFジャンルでは、筆を折りました。
活動をやめたら、TFじたいに興味がうすれました。
ファンアートを 描くことも、見ることも、描いている人と交流することも おっくうになってしまいました。
(その間 公式の権利者から 警告などの通知がきたことは一度もありませんでした)
他の(TFでも、その他ジャンルでも)二次創作作家さんが そういった行為を受け、対応を迫られる事例を たびたび目にしたので...。

マシュマロテロで『同人誌の値段』が盛り上がる二次創作界隈。「その手口の悪質さ」が実際ヤバいとの指摘も

↑最近起きた、匿名のフォーム「マシュマロ」を使って行われた 「同人誌の値段が高くて、利益を出していると見られる。版元(原作は少年漫画)へ通報します」というゲリラ的投書。これが発端になり、活動を止める人が出ました。

「どのジャンルに行っても、また同じことが繰り返されてしまうのかな。」
「どこかの時期に、ちゃんと整理してお伝えしたほうがいいかもしれない」と、ずっと思っていたのでした。

どのような事例を思い浮かべて「危険」と仰ったのか。
何しろ連絡が取れない方ですから 確かめようがありませんが
少なくとも「特別に信長の忍びのファンというわけではないです」と 今回メッセージを下さったあなたには

『迷惑はかかりませんから、安心して下さい。
そして、放っておいてください。』

と、伝えたいです。

著作権法について、読み、調べ、弁護士の方や 当事者の漫画家さんの意見を紐解いていくうちに、専門家でも「今のかたちの著作権保護法が、決してベストではない」「時代の変化に追いついていない、そぐわなくなってきている」と考えていることも わかってきました。

オタクなら常識、と信じられてきた「危険」や「ヤバイ」が、ある業界の内の方針であったり 「空気を読んだ行為」「自主規制」だったことも知りました。

参考:

「なんとなくヤバそう」で漫画もフィギュアも写真集もダメ!? 表現の世界に吹き荒れる「自主規制」の問題【山田太郎と考える「表現規制問題」第4回】

 

この数ヶ月調べていて 大きく考え方が変わったことについて まとまりませんが書いてみました。

繰り返しになりますが

「ひとりの、匿名の意見によって
作品の公開/非公開が左右された、という『前例』を、つくりたくない」。

その思いで、作品の再公開を決めました。

これからも、二次創作を取り巻く法やルールについて、無関係とは思わず勉強し続けます。

ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。