ドアの猫穴

日々思うこと・感想文・気軽に出来るボランティア情報とか書きます。

『差配さん』を読みました。

 お江戸×人情×猫×ファンタジーの ホッコリがてんこもり漫画、『差配さん』を読みました。

差配さん

差配さん

 

 手にとったキッカケは、この同じ作者の方が、時代劇漫画雑誌『コミック乱』に不定期連載されている、刀剣乱舞を題材にしたアンソロジー企画『刀剣乱舞-ONLINE-乱』に参加して、作品を描かれていたからです。

毎回、違う時代物漫画の作家さんが、刀剣男士を自分なりの解釈と絵柄で描写されていて、それがとても新しい! と感じました。

natalie.mu

すでに 刀剣乱舞-ONLINE- というゲームから派生した多くのメディアミックスがありますが、そのぜんぶにほぼ接点がないと思われる『剣客商売』『鬼平犯科帳』のような劇画作品の読者層には、どう映ったのだろう...
あまりそちらの方々の感想に触れることはないのですが、概ね現役の審神者の方のほうでは好評のようです。

その塩川先生の、ご自身の創作キャラクターである「差配さん」が 刀剣乱舞の世界に登場して、とても生き生きとしていたので、気になって読みました。

ヒトの世界(日常)と ヒトでないものの世界(ファンタジー)が少しずつ重なり溶け合っている、その境界を自由に行き来できる存在が 主人公の「差配さん」です。

ネタバレになるので詳しくは控えますが「読者を程よく混乱させる『境界のボカシぐあい』」が、とても心地よいです。「エッこのシーンはつまりどういうこと…??」って、何度でも読み返せます。

江戸の市井のひとびとが、現代の私たちよりも少し「異世界に近い」「境界があいまいな」感覚を常のものとして暮しているのも感じられます。平和で庶民の文化が発達してきた社会ではあるけど、まだまだ「異界」-それは「死の世界」もふくまれる- が身近でありふれていたのだな、と感じました。

また作者の塩川先生が小さな生き物への惜しみない愛情を持っていらっしゃることも物語の端々や後書きからわかって、だからこそ生まれた世界なのだなあ、と思います。

そんなことごとが、あくまでもアットホームに伝わってくる素晴らしいお話でした。

『紙博 in 東京 vol.3』 に行きました

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都立産業貿易センター台東館で開催された『紙博 in 東京 vol.3』 に行きました。
去年も行って楽しかったので。

 

nekoana.hatenablog.com

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スクラップブックのコンテストとか ディスプレイとか…

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プラレールが疾走する 山本紙業さんの「紙屋さんごっこ」をしながら購入できるブースが一番のお目当てでした。昔はよく同人誌の遊び紙で見かけた「パラダイス」など、今となっては貴重な廃盤紙も入ってました!

こちらが戦利品

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書店で買えなくなってた『デザインのひきだし』37号は買うしかなかった。
ぷんぷく堂さんの Suicaペンギンチーバくんのそえぶみ箋は千葉県民はマストバイ… 戦利品と言いつつ、購入したらそれと同じ価値くらいのオマケ(付箋、サンプル紙、メモ帳など)を付けて下さったお店がいっぱいでした。
九ポ堂
さんも、すごく好きなんだけど、今回は混雑がえげつなくて諦めた感ある。星座モチーフも好きだから活版tokyoで再チャレンジしたいです…

 

会場のすぐお隣が浅草寺なので お参りもしてきました。

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疲れたので、新仲見世からちょっと曲がって昔ながらの甘味処に入りました。観光客でごった返す通りに面してないだけで、とても静かで空いていて、落ち着けました。周辺のお店には「いだてん」の金栗四三ポスターが貼られていました(このお店にも)

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asakusa.gr.jp

 

その後は、ビッグサイトに移動し 久しぶりに同人誌即売会でフォロワーさんとお話したりして帰ってきました。楽しい1日でした ^^

「『表現の自由』の守り方」 を読みました。

夏の参議院選挙に立候補した、山田太郎氏の著書 「『表現の自由』の守り方」を読みました。

以前の記事で(自分の二次創作に限って、ですが)私の現在の考え方 ー 著作権について、匿名の意見から考えたこと、個人の趣味として許される表現の範囲、などを書きました。

nekoana.hatenablog.com

上の記事を書くにあたり しばらく調べていて、「TPPによって著作権違反が非親告罪化するかもしれなかった」時に問題点を挙げた議員が、この本の著者の山田太郎氏でした。そこから芋づる式に、山田氏の他の活動・業績を知ることになりました。

 私に都合の良い解釈ばかり、ひいきの引き倒しで持ってくるのは良くないと思い、実際に法律が出来上がっていく現場の第一線にいらっしゃる方がどんな仕事をしていて、今表現(特にアニメ、漫画などのポップカルチャーと呼ばれるようになった周辺の)に関して、日本の政治がどんな方向に向かって行こうとしてるのか、を知りたくて、この本を手にとりました。

冒頭の短編、『有り得た西暦2020年』の架空の漫画家の受難の物語は 私のような「あまりお行儀の良くない」ものを描く者にとってはホラーでした。ここだけが創作(いまのところは…)で、あとは事実を書いています。

山田太郎氏は現在は在野の方ですが、7月の参議院選に再度立候補し、現在活動中です。前に議員だった期間の仕事についてまとめたのがこの本です。また、リアルタイムでご自身のtwitterとLINEアカウント,動画配信などで発信されています。そちらでは漫画村などの海賊版サイトの問題、スクショ違法化、SNS児童ポルノガイドライン策定など、その時々の問題にも触れています。

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国会で行われている議論の多くが、最初から議論のための議論、政治家同士のただのイデオロギー争いになってしまっていると感じます。
しかし、だからこそ私は、そうした議論ややり方からは一線を画していきたいと考えるようになりました。
本当に大切なのは、閣議決定、大臣の言質を取る、法律を作る、修正する、附帯決議を付ける、責任者に記者発表させる…...などの明確な形でもって、目的を勝ち取ることです。決して、国会の場で政府や与党を潰すことではありません。《はじめに》

とかく「何も進展しない、揚げ足取りだけ」「野党がやじってばかり、与党ははぐらかしてばかり」という印象の国会議員の皆さんですが…山田氏はその中でキチンと具体的な成果を上げてきた方なのだなあ、と知りました。地道なことに注力しているので決してセンセーショナルに報道がされないのはとても残念ですが…

描写が過激な作品には 児童ポルノ禁止法、
私が好きなパロディ・二次創作作品にはTPPの知的財産分野の著作権非親告罪化、
両方それぞれに 規制が可能になりそうな法案があり、すんで決まるところだったと、改めて知りました。(これらはブロッキングや「青少年健全育成基本法」などに形を変え、今後も再び規制の方向に向かうかもしれないものです)

「山田さんが議員としてあの時あの委員会にいなかったら、事実上発禁になったマンガ、開けなくなった同人誌即売会があったかもしれないんだ…」とゾッとしました。
私たちの好きなものに関わるルールが 実情を知らない人の、「刺激的・衝撃的な表現は見た者の行動に悪影響を及ぼすに『違いない』」という「印象・心象」によって作られる・変えられるのはとても怖いことです。

それを水際で食い止めた(大どんでん返しではなく地道な資料集めとトップ政治家の言質で)山田太郎氏に、
「これは、私のような二次創作を読み手として書き手として好きな人間は、感謝しなければならない方だ…」と思いました。

 

 「表現の自由」について 私が思うのは。
私の描くものだけが特別扱いされたい、ワガママに出来る自由がほしいと求めているわけではありません。
書いたり、言った物についてはいつでも責任が伴います。

自由を望む ということは 私の好まない表現を好む人でも、また私の表現を嫌いな人でも、
性的描写や暴力的表現があっても、あなたも誰でも、発信したいことを発信できる社会であってほしいと願っています。

私はそういう、苦手なものがあると知っているけど、わざわざ見に行ったりしません。苦手なものを見に言って 文句をつけるのは言いがかりです。
ましてや「正しい / 間違っている」という基準で、公開してよいものかどうかを、作り手ではない「第三者」が、ジャッジしてはいけません。

あなたも、こいつは気に入らないな、と感じるものからは距離を置いてかまわない。
お互いに「ほうっておく」自由があります。

 

 いろんな考え方が認められ雑多に並存している。影響しあったりしながら 多様に・ゆたかにあるのは、これから作られる作品のソースとして、幅のある中から生まれてくるので、おもしろい作品のゆりかごになります。何より単純に、そういう世間のほうが居心地がよい。

居心地がよいだけでなく「権力の暴走に強い」社会だと思います。

『言いたいことが言えない国は、戦争が出来る国になる』

と 私は思っています。いや、信じています。戦争の前段階として、権力にとって都合の悪い表現が規制されて行きます。(これから放映する大河ドラマ『いだてん』の昭和パートで、戦争に向かう時代の表現の弾圧が扱われる、ハズです。きっと)

体制側が直接「ダメだ!」と言わずとも「好ましくない」ことを示すだけで 「お上の意向」に忖度し「自主規制」という形で、何となくこれも受け入れられないのではないか、言ってはマズイのでは...という「空気」が 醸成されていきます。

この「空気を読んで、問題になる前にやめておく」というのが、たいへんにクセものの心理だと思っています。

大戦中には野球の審判の判定までが 「敵性言語を排除しろ、日本語で言え」なんて、現在からしたら笑い話でしかないけど、忖度に忖度を重ねた結果、滑稽なこともマジメにやらざるを得なくなってしまった、実際になってしまった例の一つです。100年も昔ではない頃のことです。

洋楽を聴き、共産主義について書かれた本を持っていただけで「敵国の文化・危険思想に染まっている」と言いがかりのような罪を被せられ 命を落とす人までいました。

そんな時代が永遠に過去のものであれば良いのですが、人間の? 日本人の? 性なのか、政治のシステム上仕方ないことなのか…油断するとその頃に逆戻りしそうな気配があります。

 

全員が右向け右をしない、させられない「バラバラさ」が 平和を担保している。生命の保証にもつながっている。

私が好きなどのマンガもアニメもゲームも、そうした表現の自由の恩恵を受け、ある種の「ゆるさ」に支えられて発展してきたのだ、と思います。

 

 好きなものを見たり読んだり、そこから自分の考えを持ったりできる、当たり前の権利を守るために、個人として出来ることって何だろ? って考えたのですが、今思うのは

憲法改正や、法律や条例など「上からコントロールできる」ものに対抗するには それにNOと言える、自分たちの意思を代表する人を選挙で選び、決定機関である国会に送り出さなくては...、と思います。「選挙行って投票しよう」ってことです。それって権利の行使で、なにもむずかしいことじゃなくて。ある年齢に達している人なら、誰でも出来るいちばん簡単な意思表示ですね。

 

私はどちらかと言えば あらゆる政治活動に関わること、思想を持った人同士で集まることが、ぜんぶ苦手です(賛否ありますがデモなども参加したくないです。生身の人と関わるのは、酒でも飲んでなきゃ、怖くて出来ない欠陥持ちです)。

直接、手やお金を使って特定議員・候補者の活動の支援をしたことがないです。

でも親の影響で 投票だけは、選挙権を得た歳から棄権した事はない。これはちゃんと続けていきたいと思います。

 

もしあなたが投票に行ける年齢で「どうせ誰に投票しても何も変わらない」「誰を選べばいいのかわからない」…と思ったときに、今年の参議院選挙に立候補する山田太郎氏は ひとつの選択肢かもよ? と伝えたいです。

taroyamada.jp

政治には関心がないままでいたかったけど、ここ最近の、自身の経験から「自由に書いたり描いたりしゃべったりする世の中であるためには、こりゃ無関心ではいられないなあ」と痛感したからです。

 

 すごく身近な、好きなものを守る具体的な手段として 政治も関心を持って行きます。

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ふと。

「自分の愚痴を、いちばん長く聞いてるのは自分」という言葉に触れて。

そうだろうなあ。聞いた分だけ、もうひとりの自分は疲弊してるんだろうなあ。

私、他人の愚痴は見たくも聞きたくもないほうだけど 自分の愚痴は言ってしまう(=聞いてしまう)。それも、心身の健康には良くないのだろう…

愚痴だけを延々と書く用のアカウントなどを続けている人、自分の吐き出した毒を もう一度食べて また吐く…という すごい疲弊サイクルを無意識にしているのではないだろうか…?

と、フト思っただけ、です。

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庭のユリ

 

『ぶっカフェ!』キャラを描きました。

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ツイ4で連載中の漫画『ぶっカフェ!』の「喫茶去」スタッフの皆さんです。読んでると、心がふんわりとぬくもるコメディです。仏教のフトコロの深さも感じます。

詳しいネタバレは伏せますが 最近の連載では 恋愛、育児についても仏教の視点から 「やわらかい絵とことばで、するどく諭す」ような内容で、素晴らしくて、また今までにない独自の世界の漫画だなあ~と思います。ラブコメ苦手な私が読んでるので...

いつでもどこからでも読めるので ぜひ。(コミックスには書き下ろしもあります)

sai-zen-sen.jp